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H.pyloriha感染・定着しにくいが、これはLeb抗原の低減に基く可能性もあると我々は考える。この詳細については、現在分子生物学的アプローチを進行させている。
以上のように、H.pylori感染とABO式およびLewis式血液型物質との関係を、様々な角度から検証してみたが、顕著な相関は指摘できなかった。また、特にLeb抗原の感染受容体説については未だ世界的なコンセンサスが得られていない。しかし、そうは言いながら、特にLewis式血液型物質の有無は感染と無縁とは断言し切れない面もある。こうした状況から、H.pyloriは、他の細菌同様、おそらく多種の感染・定着受容体を有しており、Lewis式血液型物質を単一の主要な受容体として感染が成立するわけではないと考えるのが妥当と思われる。では、Lewis式血液型物質の受容体機能は、いくつか想定されている他の受容体と比べてどの程度の影響力を持つのであろうか。今後さらに検討を蓄積する予定である。

 

 

 

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